形見分けを孫にしても問題ない?メリットや相続との違いを解説!
2025.12.17

- 形見分けって何?孫に分けるのは大丈夫?
- 相続との違いが知りたい
- 家族間で形見分けをするときの注意点を教えてほしい
こんな悩みにお答えします。
形見分けとは、故人が残した品物を家族や親しい人に分け与え、その思い出を共有する行為です。特に孫への形見分けは、家族の絆を深めたり、思い出を次の世代に受け継いだりと、多くのメリットがあります。
一方で、「形見分けと相続の違い」が気になる方も多いのではないでしょうか。この記事ではその違いを明確にしつつ、孫への形見分けが持つ意味や注意点について詳しく解説します。
この記事でわかることは、以下のとおりです。
- 形見分けの意義や相続との違い
- 孫へ形見分けしても問題ない理由
- 宗教別の形見分けのタイミング
- 恥をかく前に知っておきたい形見分けのマナー
- 形見分けのトラブルを避ける3つの対策
この記事を読むことで、形見分けに関する正しい知識を身につき、家族にとって最適な選択ができるようになります。ぜひ一緒に考えていきましょう!
形見分けとは?誰とする?
形見分けとは、故人が生前使用していた品物や思い出深い物を、親しい人々に分配する行為を指します。形見分けの主な目的は、遺された品物を通じて故人を偲び、その思い出を共有することです。
形見分けは通常、故人の配偶者や子ども、また場合によっては孫や友人などに対して行われ、関係性や品物の価値、思い入れに応じて分配されます。
形見分けには単なる物品の受け渡し以上の意味が込められており、古くから大切にされてきた慣習です。親族の間で行われることが一般的ですが、故人と深い縁があった友人や知人が対象になる場合もあります。
このため、形見分けを行う際には、故人にとって大切だった品物を誰にどのように分けるのかを慎重に決める必要があります。家族間での話し合いや配慮が重要であり、場合によっては親しい友人とも相談して適切に進めることが求められます。
このように形見分けとは、故人との絆を深め、受け取った人々が故人を身近に感じる大切な機会であるといえます。
【問題なし】孫への形見分けはメリットあり!

孫への形見分けは、多くのメリットを持つ非常に意義深い行為となります。
この形見分けを通じて、孫は故人の思い出と触れ合う機会を得ることができます。故人が愛用していた品物が孫の手に渡ることで、それ自体が特別な意味を帯び、思い出の価値を一層引き立てるのです。
また、形見分けを行うことによって、孫が世代を超えて家族の歴史を感じ、故人の人生や価値観について学ぶことができます。たとえば、故人と直接関わりが少なかった若い世代であっても、形見を通じて故人の人柄や生きざまに思いを馳せる機会が得られるのです。こうしたプロセスを通じて、孫自身が家族の一員であることを再認識し、深い絆が育まれます。
さらに、形見分けは単なる物品の分配に留まらず、孫が自らの意思で大切だと思える物を受け取ることで、感情的なつながりが強化されるとともに、新しい世代に感動や喜びを与えることができます。これにより、形見分けは家族間の感情的なバランスを保ちながら、故人からの思いを未来に伝える重要な役割を果たすのです。
このように孫への形見分けは、単なる財産の引き渡しではなく、愛情や思い出、そして家族の歴史を次の世代に継承する、大切で尊い行為といえるでしょう。
形見分けと相続の違いとは?
形見分けと相続の違いについて理解することは、遺産分割のプロセスを円滑に進めるうえで欠かせません。
相続とは、法定相続人が故人の財産を法的手続きを経て受け継ぐ行為であり、遺言や民法に基づいて行われます。
その一方で、形見分けは故人が生前に親しかった人々に思い出の品を分配する行為です。とはいえ、形見分けにおいては贈与税が課される可能性もあるため、高価な品物を扱う際には特に注意が必要です。
正しく形見分けを行うことで、故人の意志を尊重し、遺産分割をスムーズに進めることが可能となります。
相続との違いについて深掘りしますので、予期せぬトラブルを防ぐためにもチェックしておきましょう。
年間110万円以上は贈与税がかかる!
贈与税は受け取った財産の価値に基づいて課税される税金であり、一定の基礎控除額が設けられています。
ですので、相続や形見分けを行う際には、特に贈与税について理解を深めておきましょう。
なぜなら、形見分けで価値ある品物を贈与するケースでは、年間110万円の基礎控除額を超える部分に対しては、その額に応じた税率が適用されるからです。この規定を理解しておくことで、遺産分割や形見分けでの思わぬトラブルを避けることができます。
また、形見分けを行う際は、遺品の価値を事前に把握することが非常に大切です。特に高額な品物が含まれる場合、その評価額が110万円を超えると税金が発生するため注意が必要です。形見分けとして現金を渡すケースも同様に贈与税がかかります。税金の負担が増すことで、故人を偲ぶはずの形見分けが負担やトラブルの原因になりかねません。
遺産分割の過程を円滑に進めるためにも、税金に関する知識を深め、各々の状況に応じた適切な対応を心がけることが重要です。
高価な品を扱う場合は気をつけよう!
思わぬ課税が問題になることがあるため、形見分けのプロセスでは高価な品物を取り扱う際に注意が必要です。
特に、時計や伝統的な着物などは、感情的価値に加えて財産的価値が高い可能性もあるため、慎重な判断が求められます。
また、形見分けを行う際には、事前に相続人間での話し合いが欠かせません。特定の品物が一人に渡ることで、他の相続人に不満が生じる可能性があるため、全員が納得できる配分を心がけることが重要です。
高価な品物は市場価値が変動しやすいため、必要に応じて専門家の意見を取り入れましょう。適切な評価を受けることで、公正な分配が実現できるでしょう。
形見分けは故人を偲ぶ行為ですが、品物の取り扱いには法律的な面も関与しますので、事前にしっかりと理解し、適切に対応することが大切です。
形見分けのタイミングは宗教によって異なる
形見分けのタイミングは、宗教や文化によって異なります。
ここでは日本の主要な以下の宗教について解説します。
- 仏教
- 神道
- キリスト教
宗教によって形見分けを行う時期は異なるため、各家庭の信仰に基づいて適切なタイミングを選ぶことが重要です。
仏教のタイミング
仏教における形見分けの時期は、四十九日法要後が基本とされています。
この期間は、故人の霊が仏道を歩みながら裁きを受け、最終的に極楽浄土へ行くとされる重要な時期です。特に忌明けを迎えるこのタイミングは、遺族にとっても一つの区切りとなり、日常生活へと戻り始める場面でもあります。そのため、形見分けを行う時期として適していると考えられています。
形見分けを行う際には、故人との思い出が詰まった品物が手元に残ることで、遺族の心の支えとなるだけでなく、故人への供養としての意義も込められています。
特に子供など若い世代には、祖父母や親の残したものを通じて、故人の生前の思い出や教えを受け取るきっかけとなるでしょう。
神道のタイミング
神道においては、故人の魂は家族を守る存在になると信じられており、葬儀が終わった後に形見分けを行います。この流れは、三十日祭や五十日祭など、定期的な霊祭を経て行われることが一般的です。
特に五十日祭は、故人の霊が家族に戻る重要な儀式として位置付けられており、この日をもう一つの節目と考えると良いでしょう。このタイミングでの形見分けは、敬意と感謝を込めて行われます。遺族は、神道の儀式に従いながら、故人を見守る存在としての意義を大切にすることで、心を込めた形見分けを実施できます。
なお、神道の習慣は地域によって異なる場合があるため、家庭内での合意や先祖からの言い伝えが重要なポイントとなります。
形見分けのタイミングに際しては、地域の伝統や家族の意向を細かく確認することが大切です。
キリスト教のタイミング
キリスト教において形見分けを行うタイミングは、主に追悼ミサが行われる日程に合わせられます。
カトリックでは、故人の没後から3日目、7日目、30日目に追悼ミサが行われ、このタイミングで形見分けが行われることが一般的です。これにより、故人を偲びつつ、大切な品物を分配します。
プロテスタントの場合は、主に故人が亡くなってから30日目に追悼ミサが行われ、そこで形見分けが行われることが多く見受けられます。キリスト教の儀式では、形見分けは故人との絆を再確認する機会としても機能します。
形見分けにおいては、故人の品を共有することで教会や親しい人たちとのつながりを感じることができ、故人に対する感謝の気持ちが込められます。
【恥をかく前に】形見分けのマナーを押さえておこう!

形見分けを行う際には、マナーをしっかりと押さえておくことが大切です。
良かれと思ってしたことが、迷惑にあたることも珍しくありません。
形見分けを行うときは、以下の3つのマナーを押さえておきましょう。
- 遺品はキレイにしておく
- 遺品は半紙に包んで渡す
- 基本的に目上の人にはしない
こうしたマナーや注意点をしっかりと理解し、故人を偲ぶ心を持って形見分けを進めることが非常に重要です。
それぞれ確認していきましょう。
遺品はキレイにしておく
形見分けを行う際、遺品は必ずきれいに手入れしておきましょう。受け取る側の気持ちを考え、汚れや傷がある状態で渡すことは避けるべきです。
特に友人や親しい人へ贈る場合、その品物が特別な意味を持つため、事前にしっかりとお手入れやクリーニングをしておくことをおすすめします。
たとえば、衣類であればクリーニング、時計などの機械系は動作確認や修理を行ってから渡すことが望ましいです。食器や美術品の場合は、自分たちだけでの修復を避け、専門業者に依頼することも考慮しましょう。受け取る側が故人の使用していた状態を望むかもしれませんので、その点についても確認する配慮が大切です。
このように遺品を丁寧に整えることで、故人への思いを伝えつつ、贈る側も受け取る側も心からその品を大切に思える関係を築くことができます。
遺品は半紙に包んで渡す
形見分けにおいて遺品を渡す際には、一般的に遺品を半紙や白い紙で包むことが望ましく、華美な包装は避けるべきです。
このような質素な包装は、故人への敬意や心遣いを示す重要な手段となります。包装の際には、表書きが重要で、仏式では「遺品」、神式では「偲ぶ草」といった表現が用いられるのが一般的です。
また、遠方にいる方へ遺品を送る場合には、破損を防ぐために丁寧に包装し、品物とともに故人の名前や形見分けである旨を記載したメッセージを添えることをおすすめします。
こうした配慮を持って形見分けを行うことで、故人との思い出を大切にしつつ、受け取る側にもその意義を感じてもらえるでしょう。
基本的に目上の人にはしない
形見分けは、故人の思い出を継承する大切な行為ですが、目上の人に対して行う場合には特に敬意が求められます。
なぜなら、形見分けは目上の人に行うのは失礼に当たる行為とされているからです。
目上の方に形見分けをする場合は、その人が本当に望んでいるかを事前に確認することが重要です。故人の意向を重要視する一方、相手に不快な思いをさせないよう、受け取る側の感情や立場にしっかり配慮しましょう。
無理に渡さず、他の方法で感謝や敬意を表すのも一つの選択肢です。さらに、形見分けの実施にあたっては、事前に相続人間で話し合いを行い、全員が納得できる形で進めることが望ましいです。
このように目上の人への形見分けは、細やかな配慮と尊重をもって行いましょう。
形見分けのトラブルを避ける3つの対策
形見分けとは、故人の大切な思い出が詰まった遺品を家族や親しい人々と共有する行為の一つです。
しかし、その過程を適切に進めないと、思わぬトラブルを招く場合があります。形見分けを円滑に進め、遺産分割における問題を防ぐために、次の3つの対策を参考にしてみてください。
- 相続人全員で形見分けをする
- 高価な遺品を相続人以外で分けるのは避ける
- 遺言書やエンディングノートに従う
これらのポイントを押さえることで、遺産分割を含む形見分けのプロセスをスムーズに進めることができるでしょう。大切なのは、故人への敬意を忘れず、全員が納得できる形で進めることです。
①相続人全員で形見分けをする
形見分けの際には、相続人全員で行うことが基本です。
故人の遺品は相続人にとって単なる物ではなく、大切な財産であるとともに、感情的な価値も持っています。一人だけが独断で遺品を分配すると、他の相続人との間で不満が生まれやすく、場合によっては遺産分割の手続きが混乱し、法律的なトラブルに発展する可能性があるからです。
相続人全員で話し合いを行うことで、各自の気持ちを共有でき、故人の希望や思い出を尊重した形見分けが可能になります。故人にとっての孫がいる家庭では、故人を偲ぶ気持ちを後世に受け継ぐために、家族全員で歩み寄る姿勢が大切です。
また、全員での合意を目指すことで、誤解や不信感を未然に防ぎ、形見分けの過程そのものが遺族間の絆を深める機会となるでしょう。
合意形成には時間がかかる場合もありますが、故人を大切に思う気持ちを共有しながら進めることで、円満な遺族関係の維持が期待できます。このように、相続人全員で協力して形見分けを進めることで、単なる遺産分割ではなく、家族の大切な思いを分かち合う場となるのです。
②高価な遺品を相続人以外で分けるのは避ける
形見分けにおいては、高価な遺品を相続人以外の人々に分けることを避けることが賢明です。
なぜなら、相続人ではない第三者に高価な品を渡すことで、他の相続人が不満を持ち、トラブルの元になる可能性が高まるからです。
もしも遺品が相続財産としての価値を持つ場合は、複数の相続人間で公平に遺品を分けることが求められ、誰か一人が特定の高価な品物を独占する状況は避けるべきです。これは、家族間の関係を損ねる要因につながることがあります。
このため、高価な遺品の扱いについては、相続人全員の合意を得たうえで進める必要があるでしょう。あらかじめ話し合いの場を設け、各々の気持ちや意向を確認し合うことが重要です。適切な配慮をしながら形見分けを行うことで、後々のトラブルを未然に防ぐ効果が期待できます。
③遺言書やエンディングノートに従う
形見分けを円滑に行うためには、遺言書やエンディングノートの内容もしっかり参考にしましょう。
これらの書類には、故人が希望する遺品の分配方法や対象者が記されていることがあり、たとえば着物や時計といった具体的な品物についてもくわしく分配方法について記載されている場合があるからです。故人の意向を尊重し、記載された内容に従って形見分けを行うことで、各相続人がより納得のいく結果に近づけます。
遺言書は法的な効力を持つため、その内容に基づいて行う必要があります。これにより、後々のトラブルを回避し、分配をスムーズに進めることが可能です。たとえば、遺言書に「特定の時計を○○に遺贈する」と記されている場合、その指示に従うことで、遺族間の不和を避けられるでしょう。また、故人の意向を明確に把握することで、相続人の心情にも寄り添う形となります。
エンディングノートも重要な役割を果たします。エンディングノートに法的な効力はないものの、故人の人生観や望みがくわしく記載されているため、形見分けの指針となります。たとえば、祖母が愛用していた着物を特定の家族に持っていてほしいという希望が記されている場合、その意思を尊重することが大切です。
このように遺言書やエンディングノートの内容をしっかりと踏まえ、相続人同士で意思を共有しながら進めることが、スムーズな形見分けを実現する鍵となるのです。
まとめ
今回は、形見分けを孫にすることの是非やメリットついて解説しました。
形見分けとは、故人を偲びながら家族や友人との絆を深める大切な機会です。適切なタイミングやマナーを守ることで、遺品を分ける行為が円滑に進み、参加者全員が安心して気持ちよく受け入れられます。
孫に形見分けを行為には問題はなく、むしろ、世代を超えて家族の歴史を感じ、故人の人生や価値観について学べるメリットがあります。
そのためには、相続人間での合意や故人の遺志の尊重、そして贈与税などの税務ルールへの理解が欠かせません。特に高価な遺品の場合は、財産的価値がある物と判断されると、年間110万円を超える部分には贈与税が課されるため注意が必要です。
形見分けを行うときは、以下の3つのマナーも押さえておきましょう。
- 遺品はキレイにしておく
- 遺品は半紙に包んで渡す
- 基本的に目上の人にはしない
トラブルを防止するためにも、以下の注意点も忘れてはなりません。
- 相続人全員で形見分けをする
- 高価な遺品を相続人以外で分けるのは避ける
- 遺言書やエンディングノートに従う
家族や友人と話し合いながら形見分けを行うことで、互いに共有する思い出が深まります。これは、故人への感謝の気持ちを形にする素晴らしい機会でもあります。思いを込めて形見分けをすることで、家族全員が安心して前に進むための一歩となるでしょう。
ぜひ、本記事を参考にして円滑な形見分けを実現してくださいね。