孤独死する20代の実態とは!?孤独死の原因や対策について解説
2024.10.01
- 孤独死する20代ってどれくらいいるの?実態が知りたい
- 20代なんてまだ若いのに、どうして孤独死するんだろう?
- 20代の孤独死を防ぐには何ができる?対策方法が知りたい!
こんな疑問に答えます。
年々増えている『孤独死』ですが、孤独死と聞くと高齢者を思い浮かべる人も多いでしょう。「うちの子は大丈夫。そんな子じゃないから」と思う人もいるかもしれません。
しかし、現実は違います。
現役世代(20歳~59歳)の孤独死は全体の約40%もあり、20代でも孤独死する人は一定数います。
この記事でわかることは、以下のとおりです。
- 統計データより、孤独死する20代の実態がわかる
- 20代で孤独死する原因がわかる
- 20代で孤独死させないために今日からできる対策がわかる
将来性のある尊い命を救うためにも、一人暮らしする20代が家族にいる方は最後までチェックしてみてください。
孤独死する20代は全体の4.7%
下表は孤独死保険より得られたデータですが、孤独死は現役世代が全体の38.4%を占め、20代は全体の4.7%を占めています。
数字で見ると、孤独死した8,543人のうち402人が20代で孤独死しています。
たしかに全体的には少ない割合かもしれませんが、1日1件以上のペースで20代の孤独死は起きています。
20代の孤独死が起きる傾向や死因について、もう少し深掘りして解説していきます。
20代での孤独死は男性よりも女性が多い
孤独死する人数は女性よりも男性の方が5倍近く多い傾向があります。
しかし、男女ごとの孤独死の年齢を見ると、下表からもわかるように男性4.1%に対して女性7.5%と、20代では女性の孤独死の割合が高くなっています。
この女性の割合が高い特徴は、30代・40代にも共通しています。
孤独死する20代の死因1位は『病死』・2位は『自殺』
下表のように、孤独死する主な原因は『病死』によるものです。
全世代では病死が63.2%であり、女性よりも男性の方が多い傾向があります。
しかし、注目すべきは『自殺』の割合。
全体では9.4%ですが、またしても20代ならではの特徴があります。
すべての自殺者9.4%のうち20代が25.9%を占める
20代を筆頭に40代までに占める自殺の割合は全体の71.1%もあり、20代が全体の25.9%を占めています。
さらに、20代では男性よりも女性の自殺者が多く、女性の自殺者の割合は36.4%もあります。
自殺の約55%が『首吊り』によるもの
厚生労働省『4 令和4年の詳細な自殺の状況』 によると、自殺した手段の67.3%が首吊りによるものと報告されています。
20代では割合が下がるものの、約55%が首吊りによって自らの命を経ってしまう傾向にあります。
まだまだ将来性のある20代が孤独死する環境的な原因について、次項でくわしく解説していきます。
20代の孤独死が増加する3つの原因
病死や自殺は直接的な原因ですが、孤独死には環境的な原因も大きく影響しています。
20代が孤独死する環境的な原因としては、以下の3つが考えられます。
- 原因①:社会的な孤立
- 原因②:経済的な困窮
- 原因③:精神的ストレス
順番に解説します。
原因①:社会的な孤立
家族や友人とのコミュニケーションをとらないなど、人間関係が希薄化していることです。
昨今はSNSが普及して対面コミュニケーションが少なくなり、リアル(オフライン)での人間関係の構築が難しく感じる人も増えているからです。このような人は悩みや不安を打ち明けられず、抱え込んでしまう傾向があります。
事実、以下のように20代の47.9%の人は、『何かしらの孤独感』を抱えて生きているというデータも。
インターネット社会の広まりとともに、人との関係を進んで断ち切りやすくなっている背景が孤独死を増加させていると言えるでしょう。
原因②:経済的な困窮
雇用環境の悪化や職の不安定によって、貧困に陥ってしまうことです。
手取り給与が少ないうえに物価は上昇し、実質賃金のマイナスが続いている背景もあるでしょう。
事実、厚生労働省が発表する毎月勤労統計調査(令和6年5月時点)では、実質賃金は24ヶ月連続しての減少(過去最長)を記録したと報告されています。
経済的に困窮すると、
- 家賃や光熱費、奨学金に追われ生活水準を大きく下げてしまう
- 正社員じゃないと収入が不安定で、健康診断を受ける機会がない
- 食生活の偏りがさまざまな病気を引き起こす
このように生活の質が下がり、社会活動の自粛につながった結果、孤独死するリスクを上昇させてしまうのです。
原因③:精神的ストレス
人間関係の悪化や仕事のプレッシャーなどから引き起こされる精神的ストレスは、孤独感を高める原因になります。
ここまで触れてきた『原因①:社会的な孤立』や『原因②:経済的な困窮』も、精神的ストレスにつながる大きな要因になります。
下表のように、精神疾患を有する外来患者数は年々増えており、うつ病を含む気分障害を患う人の割合も増えています。
厚生労働省が公表する「平成30年版 自殺対策白書」では、自殺の死因の60%が精神的な苦痛を抱えていたと報告しています。
気分が落ち込むと気力がなくなり、家が荒れ果て、体調を崩して孤独死に至ってしまうのです。
これらの問題に対して適切に対処できない20代は、周囲からのフォローも受けづらい傾向にあるため注意が必要です。
20代で孤独死しやすい人の5つの特徴
20代で孤独死しやすい人の特徴は、以下の5つです。
- 特徴①:家族や友人とのコミュニケーションが少ない
- 特徴②:セルフネグレクトに陥っている
- 特徴③:趣味がなく引きこもりがち
- 特徴④:生活に困窮している
- 特徴⑤:持病がある
これらの特徴に当てはまる家族がいる場合は、早急に対策しましょう。
それぞれ深掘りして解説します。
特徴①:家族や友人とのコミュニケーションが少ない
孤独死は家族や友人、地域の方々との接点が少ない人に多いからです。
次のような人は悩みを打ち開ける相手がいなかったり、何かあっても変化に気づかれにくかったりします。
- 実家から離れて暮らしている
- 人付き合いが苦手
- 恋人がいない
- ご近所との交流がない
実際に孤独死が起きてしまうと、「もっとこまめに連絡を取っておけば…」と後悔するご遺族がほとんど。
孤独死のリスクを下げるためにも、日常的にコミュニケーションを増やすことが大切です。
特徴②:セルフネグレクトに陥っている
セルフネグレクトとは、生活環境や食生活が悪化しているにもかかわらず、その状況を改善する気力を失っている状態を指します。
生きることへの意義を見出せなくなると、孤独死のリスクも高まります。
具体的には、
- 掃除できず物が捨てられなくなる
- 部屋がゴミ屋敷になる
- 自炊しなくなり、外食やコンビニ弁当が多くなる
このように衛生環境や食生活が悪くなると、精神状態にも影響し、孤独死のリスクを高めてしまいます。
特徴③:趣味がなく引きこもりがち
ストレスを発散したりリフレッシュしたりする機会が減ってしまい、次第に生きがいすら感じなくなり、孤独死のリスクを高めてしまうからです。
「お酒が好きなので、引きこもって飲酒でストレス発散できるから大丈夫」という方も要注意。
飲酒によるストレス発散は危険です。
アルコール中毒や他の病気のリスクが上がりますし、体調を崩すと孤独死の原因を作りかねません。
特徴④:生活に困窮している
思うような所得を得られず、生活の質が低下することで貧困に陥るケースです。
家賃や光熱費、社会保険などの支払いが困難になると、人は生活を維持するために食事をおろそかにします。
そうすると体調が悪くても病院に行けなくなり、病気が進行した結果、孤独死に陥ってしまいかねません。
特徴⑤:持病がある
特に心疾患や脳血管疾患がある人は要注意です。
突発的な症状により孤独死につながるケースが多いからです。
たとえば、以下のような症状で死に至ることも。
- 心筋梗塞
- 不整脈
- 心臓弁膜症
- 心不全
- 脳梗塞
- 脳卒中
持病がある人は健康状態が悪く、他の病気にもかかりやすいので注意しておきましょう。
20代の孤独死を防止する5つの対策
次の5つの対策をして、20代が孤立しない環境を構築しましょう。
- 対策①:積極的にコミュニケーションをとる
- 対策②:部屋をきれいにする
- 対策③:健康診断を受ける
- 対策④:心療内科を受診する
- 対策⑤:ITを駆使する
いずれも孤独死のリスクを下げられますので、積極的に取り入れることをおすすめします。
対策①:積極的にコミュニケーションをとる
とにかく接点を増やすことを意識しましょう。
コミュニケーションが増えると、何かあっても異変に気づいてもらいやすくなるからです。
たとえば、
- こまめにSNSを更新する
- 地域のコミュニティやサークル活動に参加する
- 家族や友人と定期的に連絡を取り合うルールを作る
このようにコミュニケーションを定期的に取れる環境を構築しましょう。
対策②:部屋をきれいにする
部屋が汚く不衛生な状態になると、
- ハエやゴキブリ
- カビ
- 悪臭
などが発生し、健康上のさまざまなリスクを引き起こすからです。
また、部屋が汚いと自然とストレスが溜まりやすくなりますので、定期的に部屋を掃除しましょう。
対策③:健康診断を受ける
日々の体調管理ができるので、孤独死の原因となる病気を防げるからです。
また、健康診断を受ければ定期的に人と会うきっかけにもなりますので、引きこもり対策として効果的です。
自分ではなんとも思っていなくても、医師が些細な体の変化に気づいてくれたおかげで一命を取り留めたというケースも。
一人暮らしの人ほど定期的な体のチェックやメンテナンスに気を配り、健康体でいられる仕組みづくりを意識しましょう。
対策④:心療内科を受診する
少しでも違和感を感じたら、ひとりで抱え込まずに専門医への相談をおすすめします。
セルフネグレクトを起こす原因として、精神疾患であるケースが多いからです。
心療内科によっては電話でのカウンセリングにも対応していますので、心のダメージを大きくしないためにも早めの受診を心がけましょう。
対策⑤:ITを駆使する
異変に気づいてもらえるような、ITを活用した便利なツールやサービスを活用しましょう。
たとえば、警備会社や電気会社、郵便局など民間企業が提供する見守りサービスが効果的です。
他にも、ベッドやトイレの多機能センサーや、アプリと連動した電源のつけっぱなしを感知するコンセントなど、異変を感じ取ってくれる便利なツールが多く出回っています。
次項では、デジタルネイティブ世代である20代が気軽に使いやすい、孤独死を対策できる無料アプリをご紹介します。
【とても便利】孤独死を対策できる無料アプリ3選
無料アプリによる見守りサービスとして、以下の3つを紹介します。
- ①LINEエンリッチ見守りサービス
- ②リンクプラス
- ③みまもりサービス
無料で使えるアプリが多く、いますぐ孤独死対策として導入できますので要チェックです。
①LINEエンリッチ見守りサービス
『LINEエンリッチ見守りサービス』は、もともと東日本大震災で家族や友人の安否確認をするために開発された無料アプリです。
具体的には、
- 1日~3日に1回、LINEの登録者に安否連絡の通知が入る
- 安否確認のタップがない場合、24時間後に通知が再送される
- さらに3時間以内に反応がない場合、9:00~22:00の間で登録者に電話で連絡が入る
- それでも安否確認できない場合、2名まで登録できる近親者に連絡が入る
LINEで友達追加するだけで簡単に使えます。
②リンクプラス
『リンクプラス』はペットを飼っている単身者や、小さな子供がいるシングルマザーのために考えられた孤独死防止アプリです。
具体的には、
- 事前に設定した送信先へのメッセージを作成する
- メッセージ送信前に自身のスマホに通知が入る
- メッセージを送らない場合は、「メッセージをスルー」のボタンを押す
- アプリを開かず、「メッセージをスルー」もタップしない場合は、緊急時とみなしてメールが登録者に送信される
メッセージは5つまで設定でき、送信先は3つまで設定できます。
こちらも無料で使うことができ、もしものときに外部に異変を伝えられるのでおすすめです。
③みまもりサービス
『みまもりサービス』は、ソフトバンクが開発したアプリです。
スマホの利用履歴(ロック解除、充電、歩行の時間)がクラウド上に保存され、見守る側はアプリ内で履歴を確認できる仕組みです。
2種類あるプランのうち、無料プランでは見守る人数が1人となりますが、見守る効果は十分に期待できます。
操作性がよく、使いやすい仕様になっています。
まとめ【20代の孤独死は現状を理解したうえで、しっかり対策して防ごう!】
今回は20代の孤独死について、実態や原因、対策についてご紹介しました。
事実、20代の孤独死は全体の4.7%と言えども、1日1件以上のペースで起きています。「まさか20代で孤独死するなんて、氷山の一角じゃないの?」と感じる方も、身近な家族を失っては時すでに遅しです。
日頃から以下のような対策をしましょう。
- 対策①:積極的にコミュニケーションをとる
- 対策②:部屋をきれいにする
- 対策③:健康診断を受ける
- 対策④:心療内科を受診する
- 対策⑤:ITを駆使する
遺品整理や特殊清掃のご依頼を通じて、多くのご遺族の方の心情に触れてきましたが、何事も事前の対策がとても肝心です。
本記事が20代の孤独死についての理解や、対策についての一助になれば幸いです。